コラム

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小須戸を歩く

夕暮れ時、小須戸の町を散歩した。

小須戸という町についての解説は、次のようにある。

“江戸時代に町ができ、現在はボケをはじめとする花き栽培が盛んな小須戸は、新潟市中心部から車で約40分の場所、信濃川の右岸に位置している。江戸から昭和初期まで、長岡と新潟をつなぐ舟運の川港としても発展してきた町である。
 現在、商店街となっている通りは、そのまま江戸時代に出来た街道であり、その周囲には古い町屋が数多く残る。小須戸は明治34年(1901)に起きた大火で、町の約85%が焼失。今に残る町屋で最も古いものは、この大火後に建てられたものということになる。
 その当時、小須戸は物資輸送や織物産業によって経済が潤っていたことから、良い材料を使った立派な町屋が数多く再建された。そのおかげで、小須戸の町屋は100年を越えてなお、人々の暮らしの中にある。道の両側に妻入りの町屋が連なった町並みを見られるのは、新潟県内でもここだけという貴重な風景である。
 小路に入ると、海上安全を祈った金毘羅堂、かつて町中にあった水路の名残の排水溝など、あちらこちらに川港の雰囲気も感じることができる。堤防から信濃川を望み、蒸気船が航行していた往時に思いを馳せながら、また、商店街に点在するカフェや菓子屋などを覗きながら、のんびりと町歩きを楽しんでみてはいかがだろうか。”
(出典:新潟市ホームページより http://www.city.niigata.lg.jp)

古い町並みを通って川岸へたどり着く。
海の向こうにもうすぐ陽が落ちる時間。

後ろを振り返れば、薄い夕日の光を浴びた信濃川と山々。
昼と夕の境にいる。

現在の小須戸橋のたもと辺りに、かつての渡し場があり、当時は今より川幅が広く、明治・大正期にはこの川面を蒸気船が行き交っていた。と聞く。

川の流れの近くには、必ず歴史がある。

古いものには、学びとロマンと哲学があり、良い材料と良い技術で構築されたものは長くこの世に残る。

小須戸の町の古さはディティールに現れる。

長い時間を感じる赤茶のサビや木の経年変化。
大事に保存されてきたものと、自然の時間軸の中でただただじっと町を見守ってきたものと、古さの中にもいろんな種類のものがあって、その様々な時間軸と表情が、町の魅力に繋がっているんだと思う。

古いものがある町の、その歴史の流れの中に自分の暮らしを乗せたとき、
ここでの暮らしは絵の中のような、どこを切り取っても味わい深い、そんな景色の中で流れていく。

川や橋は時に人生などいろんなものやことに例えられる。
それだけドラマチックな要素であるということ。

コンクリートに覆われた現代の住宅街にはない、
町の豊かな表情と学びがここにはある。