里山×住む「住み処」

穏やかな木々が連なる森の中に入って歩いていると、どこかでざわっとなにかが動き、空から鳥が飛ぶ音が落ちて来て、ふと腰をおろした足下で動く虫の行く方を見る。そして、静かに流れる空気のなかで、自分の心音と血液の流れを感じる。夏には毎年美しい光を魅せてくれる蛍がいる。山のうえの見晴らしのよい場所に立って、里山のふもとに広がる家々を眺めては、ひとつひとつの暮らしを想像し、その見ず知らずのひとつひとつの暮らしを愛おしく思う。動物も虫も人も、みんなそれぞれに生きる場所があり、眠る場所があり、家族と暮らす「住み処」を持っている。木々につくられた巣も、地中の穴にも、この地球はいたる所に生き物の「住み処」がある。それぞれ、自然の流れとともに行き着いた先の「住み処」。森のなかでは、地球環境そのものが「住み処」だ。一方、わたしたち“人間”は何かしらの“家”を住み処とし、雨風しのぎ暮らす。けれど、本来、“家”の周辺環境も「住み処」の領域となる。雨風しのぐ場だけではなく、その周辺環境が暮らしと心身の成長に大きな影響を与えてくる。

その成長の、特に「子ども」という時代にとって、この里山は冒険活動の舞台だと、「Akiha森のようちえん」の園長は言う。自然環境のなかで育まれる子どもの存在・元気・笑い声は地域の幸福度の高さにつながる。動物も虫も人も、「住み処」は帰る場所。各地を点々とする人も多くいると思うけれど、それぞれの人生で辿り着いた「住み処」には、きっと何かしらの理由とその場に引き寄せられた“縁”があるのだと思う。どんな土地と“縁”があるのか、いろんな土地へ行って自分の「住み処」を探してみるのもいいかもしれない。そして、陽とともに巡る一日一日を、どんな環境のなかで紡ぐのか、環境との相性について考えてみるのもいいかもしれない。

基礎情報 ― 秋葉区と「里山」
秋葉区の緑といえば何と言っても秋葉公園に代表されるにいつ丘陵地。赤松林を始め、小楢(こなら)、杉などの森林に覆われており、秋葉湖と呼ばれる湖沼や白玉の滝、またいくつかの清水があります。眺望のきく丘陵地を生かして、休憩、展望台、アスレチック、運動広場、動植物観察、キャンプ場、プレーパークなど野外活動のための魅力的な施設がたくさんあって、これらははりめぐらされた遊歩道によって、広い範囲を自由に散策できるようになっています。森林浴とともに、様々な植物や野鳥の観察にはもってこいの場所です。にいつ丘陵の四季折々の変化に富んだ美しい自然は、近隣からの家族連れなど大変多くの人々から親しまれています。